参院選2019で日本国憲法第9条はどうなる?改憲に関わるマニフェストを比較

この夏に行われる参院選2019にむけて各政党のマニフェストが公開されました。その内容は、教育、社会保障、外交、地域創生など多岐にわたります。そのなかで最近に焦点が当てられているのが改憲にかかわる箇所です。

そのきっかけが、自民党がマニフェストのなかで、憲法9条に自衛隊の文言を加えることを提案したこと。憲法改正を発議するためには3分の2の勢力を必要とします。そのため参院選2019を前に、憲法9条が徐々に争点化している雰囲気があります。

【参院選2019と改憲①】憲法9条を変える話が出た経緯

安倍晋三首相は約2年前、憲法9条のなかに自衛隊にかかわる文言を加える改正案を提案しています。憲法9条は、武力による威嚇や行使を永久に放棄することを表明するもの。そのため武力行使の範囲をどのようにとらえるか議論になりました。

改定案を提案してから2年のあいだ、憲法9条についての議論はさほど深まりませんでした。とはいえ、憲法9条の改定は安倍政権の悲願のひとつ。3分の2の勢力確保の必要性もあり、再び争点化されたと言えるでしょう。

【参院選2019と改憲②】憲法9条の改定に対する反応

安倍晋三首相が構想している新憲法に対する反応はさまざま。肯定派の人は、自衛隊が存在している以上、武力を放棄する立場そのものが難しいと考えます。また、北朝鮮情勢などの緊張をふまえ、国防力を高める必要があるという意見も目立ちます。

一方、憲法の改定に反対の立場をとる人は、憲法9条があるからこそ平和が維持されたと主張。憲法9条のなかに自衛隊や緊急事態の条項を含めたら、戦争に巻き込まれる可能性が高まるため、改定するべきではないと考えています。

【参院選2019と改憲③】自民党は自衛隊の条項を追加する意向

自民党は、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の3つの基本原則はそのままに、憲法の改定に前向きに取り組む意向を示しています。憲法9条にかかわる部分については、自衛隊の位置づけと緊急事態における対応を記す方向性。改憲の際には、国民投票を通じて是非を問うことにも言及。2020年をめどに改定を行うことを目標としました。

【参院選2019と改憲④】公明党は改憲に言及せず

今回の参院選2019より前から、改憲の議論から距離を置いているのが公明党。以前より自民党から改憲の議論を一緒に深めることを提案されています。しかし同調することを避けている模様。そのため選挙のマニフェストには、改憲にかかわる表明は含まれていません。憲法を改正は、国会の憲法審査会の場で協議するものというのが公明党のスタンスです。

【参院選2019と改憲⑤】憲法9条の改定に反対するのが立憲民主党

立憲民主党のマニフェストは、日本国憲法の改定そのものを全面的に反対するものではありません。しかし、憲法9条にかかわる部分については、はっきりと反対の姿勢を示しています。自衛隊の文言を加えることで、専守防衛(武力行使は自衛のための必要最低限にとどめる)が無効となり、日本国憲法の基本原則がくつがえることを理由として挙げています。

【参院選2019と改憲⑥】憲法9条改正の争点化は避けた国民民主党

国民民主党のスタンスは現実と向き合いながら対応するというもの。基本的には、日米同盟を軸におき、防衛力を整備するという方向性です。国民民主党の主張は、現在の安保法制はとりやめ、日米同盟の内容を諸外国と同じくらいに引き上げるというもの。憲法9条の改定については、議論を進めるとしながらも具体的な表明は行っていません。

【参院選2019と改憲⑦】日本維新の会は段階を踏むことを提案

日本維新の会による改憲の表明は「教育無償化」「統治機構改革」「憲法裁判所設置」にかかわるものに限定。憲法9条にかんする事項は、改憲のマニフェストに含まれていません。別の個所で、国立追悼施設の整備とインテリジェンス(情報収集・分析にあたる機関)の創設を進めることを提案。そのうえで初めて改定の議論に進むことができると記しています。

【参院選2019と改憲⑧】共産党は友好協力条約の仕組みを提案

憲法9条の改定をいちばんはっきりと反対しているのが共産党。自衛隊の文言が加わることで、海外における無制限の武力行使が可能になることを懸念しています。対案として出したのが、東南アジア諸国連合(ASEAN)が結んでいるTAC(友好協力条約)に類する仕組みを北東アジアエリアで構築すること。平和的な解決を図ることを提案しています。

まとめ

参院選2019は、教育の無償化や社会保障制度など、国民の日常生活に直結する内容が強調される傾向があります。しかしマニフェストレベルで見ると、それらと同じくらいに憲法の改定に関わる事項が重視されていることが分かります。テレビや新聞の報道にくわえ、各党のウェブサイトで公開されているマニフェストを確認し、それぞれの主張を全体的に見渡すことも大切になります。