Facebookの政治広告問題の論点は?Twitterと比較しながら解説

2020年にアメリカで行われるのが大統領選挙です。この大統領選の争点は、現職であるトランプ大統領が再選するのか、民主党は彼の再選を阻止することができるのかにあります。

大統領選挙に対する関心が高まるなか、アメリカ国民の注目を集めているのがFacebookやTwitterなどの政治広告問題。SNS上の政治広告は有権者の投票行動に大きな影響を与えると考えられています。

Facebookの政治広告問題は、どのようなプロセスを経て白熱しているのか、それに対してTwitterはどのような対応を取ったのか、まとめてみたいと思います。

Facebookの政治広告問題は民主党の提起からはじまる

Facebookの政治広告問題がわきあがったのは、アメリカ大統領選の民主党有力候補であるウォーレン上院議員がFacebook上に掲載したフェイク広告が発端です。

社会に対する影響力が大きいFacebookが、利益を追求するあまりに事実確認を十分に行わずに広告を出していることを露呈させることがその狙い。最高経営責任者(CEO)であるザッカーバーグは、Facebookは十分にファクトチェックを実施していると反論しました。

ウォーレン上院議員のフェイク広告とは?

このとき配信されたウォーレン上院議員のフェイク広告は「Facebookがトランプ大統領の支持を表明した」という趣旨のものでした。Facebookは、政治広告の事実確認は通常の広告よりも慎重であるはずなのに、フェイク記事はまんまと掲載されてしまいました。

Twitter社は政治広告を掲載しないことを表明

この騒動に反応したのがTwitter社のCEOであるジャック・ドーシーです。ジャック・ドーシーは政治広告を掲載しない方針を表明。ザッカーバーグが「これからの政治広告を掲載する」という方針を発信した直後のことでした。

ジャック・ドーシーは、広告費を支払って政治的なメッセージを表示するのは邪道であるとし、それを拡散させたいなら「フォロー」や「リツイート」を増やす努力をするべきであると述べました。

Twitterも大統領選に影響力を与えるだろうSNS

アメリカにおけるSNS事情を見ると、TwitterはFacebookよりもユーザーが少なく、影響力も限られています。Facebookに批判が集まるなか、あえて対抗的な措置をとることで、Twitterの権威性を高めようとした一面もあります。

Twitter 社の政治広告規制の内容

Twitter社は、ジャック・ドーシーの方針を受けた規制の具体的な内容を発表。政治広告の規制は11月22日から全世界のユーザーを対象に行われることになりました。

1.政治に関連する者はTwitter上に広告を出すことを禁止
2.意見広告を出す際、利用者データによるターゲットの絞り込みを禁止
3.営利団体による規制に関連するメッセージを盛り込んだ広告の禁止

このように、候補者はもちろんのこと政党や政治団体は、自身の政治理念のみならず経済、環境、社会格差等に関わる意見を、広告を通じて拡散することができなくなりました。

Twitterは政治広告を使わなくても拡散手段が豊富

数あるSNSのなかでもTwitterは突出した拡散力を持っています。そのため広告費を支払わなくても政治的メッセージを拡散させることは可能。政治広告に規制が発生すると、場合によってはFacebookよりもTwitterの方が優位に立てることもあるのです。

Facebook の従業員が政治広告問題に意見

ウォーレン上院議員の虚偽広告を掲載してしまったことを受けて、ザッカーバーグ氏そして会社幹部に対して嘆願書を提出したのがFacebookの従業員です。従業員が嘆願した対処案は次のようなものでした。

1.大統領選挙に関連する政治広告にファクトチェックを実施
2.マイクロターゲティング(特定層に限定した広告の掲載)の制限
3.出費できる広告費に対する上限の設定
4.選挙活動禁止期間における監視およびユーザーに対する警告

マイクロターゲティングとは、年齢、性別、居住地などのデータを細分化することで、効率的に広告配信や情報提供を行うこと。以前から、消費者に広告を効果的に配信できる一方、投票行動を誘導するものであると批判が目立ち始めていました。

マイクロターゲティングの政治利用に批判が高まる

Facebookの政治広告問題を受けて危険性が指摘されているのがマイクロターゲティング。一部の人に政治的なフェイク広告を配信しても、他の多数の人々はそれを目にすることはありません。そのため、広告を掲示する候補者を絞り込むことは、説明責任を果たしたことにならないと指摘されたのです。

Facebookにおける政治広告費ランキングの上位者は?

Facebookにおける政治広告費ランキングでトップに君臨しているのがベト・オルーク。現職の下院議員で、2020年の大統領選に出馬を目指していた政治家のひとりです(現在は出馬の断念を表明)。ただ、Facebook全体の政治広告費におけるベト・オルークの出資は微々たるもの。実際、いちばん政治広告費にお金を出しているのはFacebookということが判明しました。

広告費の稼ぎ頭はFacebook自身

Facebookによる広告費の総額は1,200万ドル。日本円に換算すると13億5,200万円となります。オルーク、トランプ大統領、その他の主要政治家の広告費をすべて合算しても超えることができない金額。その内容は、選挙における自社プラットフォームの不正利用を防ぐための会社の努力をPRするものでした。

まとめ

Facebookは批判にさらされながらも未だに政治広告費に執着している理由は判明していません。SNSの活用に力を入れているトランプ大統領。2020年のアメリカ大統領選挙では、政治理念やマニフェストに加えて、SNSを使った選挙活動の手法にも注目が集まることになるでしょう。