IR(総合リゾート)推進法案とは?日本型のカジノの構想を振り返る

日本では2016年にIR(総合リゾート)推進法案が可決。それに伴い、国がカジノを運営することが正規式に決まりました。カジノのディーラーを養成する専門学校ができるなど、さまざまな業界に影響を与えています。

IR(総合リゾート)推進法が提案するのは、観光資源となりうる複数の施設とカジノ施設が一体となっている大型施設をつくること。カジノの併設により、大型施設の投資を回収するという狙いがあります。

しかし最近は、誘致に名乗りをあげている横浜市で強い反発があらわに。反対派と賛成派で市政が二分される騒ぎとなっています。そこで、そもそもIR(総合リゾート)推進法案とは何なのか、改めてまとめてみたいと思います。

【カジノ誘致①】インバウンド加速のための公共政策

日本でカジノを解禁する流れができたのは、海外からの観光旅行者を増やす「インバウンド加速」が大きな目的。東京オリンピック開催に向けて、さらに開催後も継続的に海外からの旅行者を呼び込むための施策のひとつとされています。

IRを通じて観光先進国を目指す

ここでたびたび出てくるIRとはIntegrated Resortの略。以下の施設の集合体のことを指します。

・MICE(国際会議場、国際展示場)
・レストランやショッピングモール
・エンターテイメント施設(水族館や映画館)
・ホテル
・カジノ

カジノに関しては、国や自治体が管理・監督を行い、その収益は財政貢献にあてると位置づけています。それにより2030年には、訪⽇外国⼈旅⾏者として6,000万⼈、旅⾏消費額として15兆円を創出することを目標としています。

大人と子供が楽しめる観光資源をつくる

IR(総合リゾート)推進法が可決されたとき、カジノだけに注目が集まったことから、IR=カジノと考えている人も多いのでは。実際は、レストラン、ショッピングモール、エンターテイメント施設などが主要施設となることから、大人から子どもまで楽しめる観光資源をつくることが本来の狙いです。

とはいえ、子どもが出入りする場所にカジノをつくること自体がナンセンスであるという見方が根強くあるのが現実。カジノ誘致の推進者は、利用者は外国人旅行者を念頭に置いたもので、住み分けは可能であると考えています。しかし、課題が多い段階にあると言えるでしょう。

【カジノ誘致②】日本型IRはどのように運営される?

大型施設をつくるために区画の開発や整備を大規模に展開。大型総合施設の個々の事業は基本的に民間により運営されますが、国や自治体がそれらを全体的に監督するかたちになります。

責任主体となるのは国土交通大臣

責任主体となるのは主務大臣=国土交通大臣となります。国土交通大臣は、自治体やIR事業者が区画の整備計画に基づいて適切に実施しているかを監督するという位置づけ。IR(総合リゾート)は、いわゆる公共政策ということになります。

自治体の監督のもとIR業者が実施

IR業者は、自由な発想のもと施設を運営する権利が与えられます。しかしながら、その活動は、施設が誘致された自治体の監督下におかれます。つまりIR業者は公共政策の共同実施者。区域整備計画や国際的・全国的な⾒地をふまえて事業をすすめる必要があります。

【カジノ誘致③】厳しく規制することを明言

IR施設のなかでもとくに賛否が分かれているのがカジノ。とくに「ギャンブル依存症を増やすのでは」「子どもや若者に悪い影響を与えるのでは」と心配されています。それを見越してIR(総合リゾート)推進法では、国際的に見ても厳しい規制を行うとしています。

免許制によりカジノ参入を規制

ひとつはカジノの参入を免許制にするというもの。カジノ事業者だけではなく、代表者や役員、株主、監査⼈なども要審査。土地や施設の所有者やカジノに関連する機器をつくる字御者もまた免許制にするとしています。

反社等のカジノ参入や不正などを防ぐことが免許制の目的。審査の対象になる業者や個人だけではなく、子会社などの関係者に対しても背面調査ができる仕組みをつくるとしています。そのため取り引きが発生する際も、その契約の認可が必要となります。

ギャンブル依存を防止する対策も

とくに心配されているギャンブル依存を防止するために、入場回数、広告や勧誘、コンプ(無料券・割引券などの各種サービス)などを制限する予定とのこと。入場規制については、本⼈や家族の申告による施設の利⽤制限も含まれます。

ただ、たくさんの入場者が想定されるカジノ施設において、しっかりと入場制限や利用制限ができるのか、依存者に対するケアはどうするのかは未解決。とくに依存者ケアにあてる予算等が今だ不透明であることもあり、不十分であると批判する声も少なくありません。

まとめ

IR(総合リゾート)推進法は、カジノを公正・健全に運営するために、方針を細かく列挙しています。しかし現時点では、起こりうる問題を防止するための具体的対策は明示されていません。個別的な法案や対策案はこれから段階的に公開されるとのこと。日本の経済のために本当に良いことなのかどうかを見極めるためにも、ぜひチェックしていきたいところです。