【どこで決着が着く?】厚生省の不正統計問題

不正統計は場合によっては、今国会の政局を変えるかもしれません。とても大きな問題ですが、その内容は専門的解説も多く、分かりづらいですよね。

雇用保険にも関わってくる問題であり、国民にも影響しかねないとして国政に警笛を鳴らす声もあがっています。

不正統計問題を、ざっと分かりやすく解説!

今回問題となっているのは、厚生省が作成している「毎月勤労統計調査」という統計結果です。これは賃金や労働時間に関する統計調査で、GDP(国内総生産)の算出にも関係しています。

毎月勤労統計調査がしっかりできていないと、労働者の賃金が下がったのか、上がったのか、残業は増えたのか減ったのかなど、国民の労働環境を正しく認識できなくなってしまいます。

女性の社会進出や、子育て環境の整備など、様々な働き方改革が行われていますが、毎月勤労統計調査が適当であった場合、これらの改革も意味を成さなくなってしまうのです。

毎月勤労統計調査では、全数調査が義務付けられています。ですが、今回の統計ではサンプル調査に変更し、補正もせずに放置したことが、問題となっています。

サンプル調査とは

仮に1,000件、調査件数があったとしたら、200件だけをサンプル調査とし、サンプル調査から得られた数字に、かける5をする補正作業を行うことで、実際に近い数字(1,000件分にあたるであろう数字)を算出することができるというもの。

今回の毎月勤労統計調査ではサンプル調査しかしていないため、全数調査という義務に違反しています。更に、1,000件必要なところを200件しか調査していないため、統計結果が実際よりも極端に低くなってしまいました。

このようなことが、先月、先々月だけでなく、2004年から過去15年間ずっと行われていました。過去の数字も正しいものに補正するためには、2004年度の分から補正しなければいけません。ですが、厚生省は18年以降のみ補正するという対応を取ったため、18年から途端に数字が上昇するという異常事態が起こりました。

統計調査は国民が払う「雇用保険」から、算出されている

統計調査にかかる費用は、国民が払う雇用保険から算出されています。そして不正を補正するための事務費用も、雇用保険から算出されます。

問題の概要

GDP(国内総生産)にも影響する毎月勤労統計調査を、雇用保険(税金)から算出し、適当な数字を結果として公表していた。これを正しい数字に補正する作業も雇用保険(税金)から算出するとしたものの、不正統計のあった過去全てではなく、18年度のみという正しい数字を弾き出せないものである。

その上で、国民の勤労統計は上昇していると政府は発表しています。ですが、実際には「数字が上昇したように見せていた」だけであり、国民の置かれた正しい状況を弾き出せるものではありませんでした。

専門的な用語や大きな話になりすぎて、国民にとっては別世界の話に感じられるかもしれません。でもこれらに使われているお金は、雇用保険という国民が支払っているお金です。根本的な解決を目指さない限り、国の正しい状況を把握することができず、政策は無意味となってしまうのです。

【国民の気持ち】日本はどこにいる?自分の足元をしっかり見よう

昨今の国会は、責任の所存を確かめることにとても時間を割いています。問題を解決させるため、再発防止のために詳細を知る必要はあります。ですが、誰が悪いかという議論ばかりしているのが、実際の国会です。

必要なのは「これからどうしていくか」という建設的な議論であって「誰が悪いのか」という、責めるだけの議論ではありません。建設的な議論ができないのであれば、話はずっと停滞したまま、前に進むことも後ろへ戻ることもなくなるのです。

毎月勤労統計調査というのは、いわばその国の足元を見ることができる数字です。他国の状況を知ることも重要ですが、自国の立ち位置を分かっておくことは言わずもがなですよね。

その立ち位置がデタラメ適当であったと考えると、日本が今どんな状況なのか政府は把握していないということになります。正しい状況を把握せずに打ち出された政策には、意味があるのでしょうか?

これから厚生省ないし国会で話し合われるべき、重要ポイントは、以下の通りです。

厚生省の統計調査に、本物の第三者委員会を設置する

今回の不正統計では、それにまつわる人間の全てが「身内」で構成されていました。第三者委員会というのは本来、組織とは無関係の人間で構成されます。ところが、厚生省が設置した第三者委員会では、厚生省と関係のある人間で構成されていました。

問題は起こらないことが最も大事ですが、人間だれでもミスは犯すものです。そのための第三者委員会であり、ここでも隠蔽工作が行われてしまえば、委員会は意味を成しません。まずは不正を起こさぬよう、監視体制を徹底することが求められています。

人員、予算の不足、現場の負担過多が実情である

相次ぐ虐待のニュースによって、児童相談所は人手不足であると訴えている方がたくさんいらっしゃいます。日本には公務員が少ないといわれており、その影響は多方面で起こっています。そしてそのうちのひとつが、各省庁なのです。

狭き門といわれることもある公務員試験ですが、政府はもう少し幅を広げて、ひとりひとりの負担が減るようにしなければならないかもしれませんね。

厚生省の不正統計問題は、どこで決着が着く?

税金の問題でもある以上、黙って見ている国民は少なくないです。今国会では盛んに議論されていますが、このままうやむやに流れることは有り得ないでしょう。与党は選挙に向けて早期に収束させたいようですが、野党はこの際、根本から解決しようじゃないかと逃さない姿勢を取っています。

今回の不正統計問題は、1. 不正統計期間が長いこと、2.GDP(国内総生産)にも関係してくる、という2つの点から、うやむやにされることは絶対に有り得ません。問題を国民がどう受け止めたかは、選挙結果に現れるでしょう。

まとめ

雇用保険というのは、その人の職を守るために支払っているものです。その雇用保険から産出されている「毎月勤労統計調査」というのは、その人の仕事を守るために必要なものなのです。

GDP(国内総生産)のうち、半分は国民個人の支出だといわれています。日本は長いことトップ3に入っていましたが、今や東南アジアの勢いは増してしまい、横ばいから抜け出せずにいました。不正統計は、そんん状況を打破するために行われたのかもしれません。ですが、嘘をついて打開できたかのように見せても、実際にはなんの意味もありませんよね。

ブータン王国のように、経済指標となるGDP(国内総生産)に重きを置くのではなく、GNH(国民総幸福量)に重きを置いている国もあります。でも日本は、自殺大国と呼ばれるほど自殺者数が多い国です。

経済指標はデタラメで、国民が幸せとは言い難いのが、今の日本です。そんな現状と政府は、どう向き合っていくのでしょうか。