トランプ大統領とWHOの対立の背景は?中国や台湾の関係を含めて解説

WHOとは、World Health Organization(世界保健機関)の略。ニューヨークで開催された国際保健会議にて、世界保健憲章が採択されたことにより設立されました。世界各国の新型コロナウィルスの対応を左右するほど、WHOの発言は大きな影響力を持っています。最近、アメリカのトランプ大統領がWHOの対応を強く非難する場面が目立ち始めました。それはいったいどうしてなのでしょうか。

WHOとはどのように運営されている組織?

WHOは規模が異なる3つの組織を軸に運営されています。

世界保健総会(World Health Assembly)

WHOの最高意思決定機関に該当するのが世界保健総会です。毎年5月にジュネーブにて開催される総会で、すべての加盟国が参加可能。この総会では、事業計画、予算、執行理事国、事務局長などが決定されます。

執行理事会(Executive Board)

これは世界保健総会の執行部的な組織。34ヶ国が推薦する執行理事により構成されます。理事会は毎年2回開催。執行理事会は、世界保健総会の政策を実行したり助言や提案を行ったりします。

地域的機関(Regional Organization)

総会が定めた6地域(アフリカ、アメリカ、ヨ-ロッパ、東南アジア、東地中海、西太平洋)により構成されるのが地域的機関。意思決定する地域委員会と実施機関である地域事務局に分かれています。

WHOにおける日本の位置づけは?

日本はWHOのなかの西太平洋地域事務局に所属しています。事務局があるのはフィリピンのマニラ。所属国は、カンボジア、ラオス、ベトナム、モンゴル、中国、香港、韓国、日本、フィリピン、オーストラリア、ニュージーランドなど計37か国。タイ、インドネシア、ミャンマー、北朝鮮は東南アジア地域に所属しています。

WHOの予算は2年制で組まれます。予算は、各国の分担拠出金と各国や財団からの任意の拠出金から構成。最近は任意が予算の中心を占めています。日本の拠出金は、アメリカ、イギリス、ドイツに続いて第4位。多額の拠出金を出していることが分かります。

トランプ大統領のWHO批判の背景とは?

アメリカのトランプ大統領が、新型コロナウィルスに関する対応に不満をもらしたことで、WHOの名前を聞くことが増えました。トランプ大統領は、WHOが提供した情報が不正確であったこと、中国寄りの立場であることなどを批判の根拠としています。

とくに台湾が早期に「人・人感染」の可能性を指摘したにも関わらず、WHOはそれを否定。その結果、パンデミック宣言が遅れてしまい、世界中に感染が広がったというのがトランプ政権の見方です。

トランプ大統領の批判はさらに過熱

さらにトランプ大統領によると、WHOは2019年12月初旬に中国武漢で感染が広がっているという報告を無視。中国の国内移動制限を称賛する一方、アメリカの国境閉鎖を批判するなど、発言に矛盾があることも指摘しました。そして、組織を抜本的に改革することにより、中国から独立する必要があると主張しているのです。

WHO総会に台湾参加を求めた理由とは?

トランプ大統領が台湾のオブザーバー参加を求めたことには理由があります。それは中国および台湾に対するテドロフ局長の対応に差があること。たとえば、WHOが開催したブリーフィングで台湾の代表が質問したさい、テドロフ局長が無視する場面がありました。

また、台湾から個人攻撃を受けていると発言する一方、中国の対応を称賛。テドロフ局長の偏った対応が広く知られるようになりました。しかしながら、アメリカが求めた台湾のオブザーバー参加は中国の反対により認められませんでした。

アメリカがWHOを脱退する可能性は?

トランプ大統領がWHO批判を始めた背景には、アメリカ国内の批判の目をそらす意味もあるようです。国内ではトランプ政権の対応のまずさがウィルス拡大を招いたという不満が爆発。批判の矛先を自分から中国とWHOに変えることがトランプ大統領の狙いのひとつなのです。

拠出金額が第1位のアメリカが脱退の可能性を示唆する一方、中国の習近平国家主席は新型コロナウィルス対策として2年間で20億ドルの拠出金を出すことを表明。日本円に換算すると約2100億円。トランプ大統領とまったく逆の対応をすることで対立姿勢を鮮明化しました。

中国はWHOを通じて影響力を拡大

新型コロナウィルスの発生源が中国であるという見方が根強くあるのも事実。欧州連合(EU)が要請した調査の実施を中国は受け入れています。ただし、習近平国家主席は、調査の実施時期を世界的流行が収束したあとと限定。さらにWHOが主導で行うことを約束させました。

中国の思惑は、国際的な孤立を回避すること、そしてWHO内で影響力を発揮することにあります。中国はWHOと足並みをそろえて新型コロナウィルスの調査を進めることで、世界への影響力を強めようとしていると考えられています。

まとめ

アメリカで控えている大統領選では、ジョー・バイデンが民主党候補になることがおおむね確定。WHOのテドロフ事務局長批判が加速した時期と民主党候補の確定時期は、見事に一致していると言われています。政治的思惑が色濃く反映されているWHOを舞台とする一連の騒動。アメリカ、中国、その他の国の反応を注意深く見守っていく必要がありそうです。