アメリカが中国のファーウェイを排除する意図は?日本に影響はあるの?

アメリカのトランプ政権がファーウェイと取り引きすることを、事実上、禁止する措置を打ち出しました。トランプ大統領は、軍事的にも安全保障の観点からも危険であることを理由にする一方、中国との貿易交渉で合意できれば、何らかの対応をすることを示唆しました。

アメリカと中国は、関税をめぐり貿易交渉が難航。現在は、交渉が中断されたままの状態です。ファーウェイに対する措置は、アメリカが貿易交渉を優位に進めるための材料とする見方も。ファーウェイ排除の余波は、日本のスマートフォン市場にも及ぶことになりました。

中国のファーウェイとは?中国最大の通信機器の会社

ファーウェイ(Huawei)は中国の深圳市に本社がある、1987年に設立された通信機器の会社です。当初の顧客は中国企業が中心。1997年に香港企業との契約に成功、その後はヨーロッパ、アジア、アフリカ、南米における事業を拡大させていきます。

会社を大きく成長させたのが、携帯電話、タブレット、携帯通信端末などの開発。最近は、スマートフォンを手がけるようになり、出荷台数とシェアは共に世界トップクラス。コストパフォーマンスが良いこともあり、世界中で利用者を増やすことに成功しました。

ファーウェイ排除の背景にある米中の攻防の歴史

ファーウェイとアメリカの攻防には長い歴史が。2000年以降、ファーウェイはアメリカ市場に参入、米企業との連携を開始します。しかし、ソースコードを盗んだと訴訟に発展。NSA(米国家安全保障局)がCEOである任正非の動向を監視していたことも話題になりました。

さらに2012年には、ファーウェイと大手通信機器メーカーZTEがアメリカの安全保障の脅威であるとする報告書をアメリカ連保議会が発表。それを受けて2014年には、アメリカ政府機関におけるファーウェイの使用が公式に禁止されました。

大統領令の発動は米中貿易交渉の影響?

2019年5月15日、トランプ大統領は「大統領令13873号」に署名。これは、国家安全保障におけるリスクが懸念される企業の通信機器の使用を禁止するものです。具体的な企業名は示されていませんが、ファーウェイを念頭に置いた措置と考えられています。

この措置から見えてくるのが激しさを増した米中貿易交渉。トランプ政権の関税強化の方針を受けて、中国はアメリカの輸入品に最大25%の関税を課すなど、報復合戦のような状態に。その最中における大統領令の発動であることから、関連性を指摘する声も目立ちます。

米商務省の判断はファーウェイに追い打ちをかけることに

大統領令の発動を追うように、アメリカ商務省はファーウェイと関連企業の合計68社を、エンティティリストに加えました。このリストにある企業に、製品やサービスを輸出する際、商務省産業安全保障局(BIS)の許可を受けることが必要となりました。

BISの許可がおりれば輸出することは可能。ただ実際は、申請は拒否することが原則です。エンティリティリストへの追加は、実質、禁輸措置を受けたことと同じ。トランプ政権と米総務省の対応は偶然の一致と主張するものの、見事にファーウェイに打撃を与えました。

グーグルはファーウェイに対するOSの提供を打ち切る

スマートフォンやタブレット本体は、ほとんどをファーウェイが自前で用意することが可能。エンティティリスト入りの影響は少ないとされています。しかし、ソフトウェアやアプリなどの主要製品を導入することが難しくなります。

グーグルは、ファーウェイに対するアンドロイドOSの提供を打ち切ることを発表。中国以外の市場でインストールされているGoogle PlayやGoogleマップ、YouTubeなどにアクセスができなくなる可能性が高まりました。

ファーウェイ問題に対する日本の会社の対応

中国市場の場合、グーグルのサービスはブロック。アンドロイドのスマートフォンは販売されていません。しかし日本で売る場合、グーグルの各種アプリのインストールは必須。グーグルがそれらを提供しないとなると、商品として成立させることが困難になります。

そのためファーウェイ問題は、日本におけるスマートフォン市場に影響を及ぼすことに。グーグルの対応を受けて、ソフトバンク、KDDI、ドコモの3社は、ハーウェイスマートフォンシリーズの発売を延期することを決定。発売を開始する時期は未定のままです。

九州エリアへの影響が懸念されるファーウェイ問題

ファーウェイは、日本向けのスマートフォンなどを製造する過程で、日本企業と部品の供給などの取り引きがあります。新商品の発売開始の見通しが立たなくなると、製造にかかわる日本企業に一定の影響が出るのではないかと懸念されています。

ファーウェイにイメージセンサーをおさめているのが九州に拠点があるソニーの関連会社。そこから九州の半導体産業に影響が及ぶのではないかと指摘する声も。大きな打撃とはならないようですが、勢いをそがれた形になったことは間違いありません。

まとめ

一連の措置の影響をうけて、スマートフォン市場におけるファーウェイのシェアは激減。アップルに次ぐ第2位だったシェアは、大統領令の署名から約1週間後に発表された調査結果によると、約3分の1にまで縮小していました。米中貿易交渉との関連性はないとするものの、中国側は何らかの対応を迫られることになりそうです。