世界のリーダーも注目するノートルダム大聖堂再建の政治的な重要性は?

ノートルダム大聖堂は、フランスのパリにあるゴシック様式の大聖堂。築850年のノートルダム大聖堂は、宗教的にはもちろん歴史的にも重要な建築物で、世界遺産にも指定されています。世界史の授業で触れたことがある人も多いのではないでしょうか。

そんなノートルダム大聖堂が、2019年4月15日の夕方に出火し、大規模な火災に見舞われました。発生から約9時間後の16日の未明に、火災はほぼ消し止められたものの、シンボルである尖塔と屋根に加え、建物内にある絵画やステンドグラスにも被害が出たことが報告されました。

ノートルダム大聖堂に対する世界のリーダーの反応は?

ノートルダム大聖堂の火災のニュースは、世界中をかけめぐり、主要なリーダーがいち早くコメントを出すに至りました。

メイ首相(英国)

ノートルダム大聖堂の火災を受けて、ツイッターで反応したひとりが英国のメイ首相。「今夜、フランスの人々やノートルダム大聖堂でひどい炎と戦っている救急隊員の方々の深い悲しみをお察しします」という声明を出しました。

トランプ大統領(アメリカ合衆国)

ツイッターですぐに反応したものの、墓穴を掘ってしまったのがアメリカのトランプ大統領。「上空から航空機で放水してはどうだろうか。早く対応せねば!」とつぶやくものの、航空機から放水すると建物が壊れると、フランス当局から指摘されるはめに。

ローマ法王(バチカン)

「ショックで悲しんでいる」という声明を発表したのがローマ法王。フランスとイタリアは、ともに芸術大国という一面が。イタリアおよびカトリック教会の総本山のバチカンは、修復作業を支援する技術者を派遣することを提案しています。

マクロン大統領は5年で再建を約束!3年後の選挙も視野に?

ノートルダム大聖堂の再建までの期間について、フランスのマクロン大統領は「5年」と発表しました。さらに、「より美しい姿にする」と宣言し、フランス国民に結束を呼びかけました。しかし、専門家からは、現実的に難しいという声が沸き上がっています。

3年後にマクロン大統領を待ち受けるのが選挙。支持率の低下にテコ入れするために内閣改造をするものの失敗。実行した改革は、富裕層に有利なものであると、国民の反感を買うことに。そんなタイミングでの火災を、選挙に向けて求心力を高めるために政治利用としていると、フランス国内では批判が高まりつつあるようです。

ノートルダム大聖堂の火災により経済的な影響も

フランスのパリは、世界中から観光客が訪れる有数の観光地という一面が。なかでもノートルダム大聖堂は、ツアーのコースに必ず組み込まれる名所です。フランスは観光する場所がたくさんあるため、キャンセルが続出する事態ではないとのこと。しかし、旅行企画会社はコースの変更に迫られているそうです。

フランスは日本人に人気の旅行先。当面のあいだ、ノートルダム大聖堂は遠くから眺めるだけになりそうです。ツアーで訪れる観光客が減るなどの経済的な打撃は、マクロン大統領にとってマイナスの材料になりかねません。そこで、経済的な影響を最小限にとどめるために、5年の再建を実行しようとしているとも言われています。

パリ五輪のシンボルとしてもノートルダム大聖堂は重要に

ノートルダム大聖堂の再建に支援を申し出たのが国際オリンピック委員会(IOC)。ノートルダム大聖堂の再建を、2024年に開催されるパリ五輪に間に合わせるために、経済的な支援を決定しました。支援額は50万ユーロ、日本円で約6300万円となる予定です。

その他、フランス国内外の有志から、合計で約7億5000万ユーロ、日本円で約840億円の寄付が申し出られているとのこと。フランス国民にとって、政治とは関係なく、パリ五輪は重要なイベント。同時に、世界の支援と共に開催されるパリ五輪は、マクロン大統領の政策の是非を問う重要な判断材料となることは間違いないでしょう。

ノートルダム大聖堂の再建に日本はどう関わる?

日本政府もまた、ノートルダム大聖堂の再建に向けて協力する予定です。安倍首相はマクロン大統領と首脳会談をしたときに、ノートルダム大聖堂の再建に向けて、日本政府として協力することを表明しました。

ほとんどの日本人が知っているノートルダム大聖堂。そのため日本政府の協力姿勢は自然な流れのように見えます。同時に日本にとってフランスはG7議長国。6月にG20大阪サミットを控える日本にとって、フランスと良好な関係をつくることは、諸課題のすり合わせを進めるうえで大切。これを視野に入れておく必要があります。

まとめ

日本人にとって、すべての世代になじみがあるノートルダム大聖堂。できるだけ早く再建されることを望んでいる人が大多数です。多くの人に注目される建築物であるため、経済的にはもちろん政治的にも、再建の成功は重要な意味を持ちます。そのため、ノートルダム大聖堂の再建の過程とあわせて、世界のリーダーの反応を把握していくと、それぞれの立場からの政治的意図をくみ取ることができるかもしれません。