インド総選挙2019の行方は?日本にどんな影響があるの?

どの国でも選挙は国の方針を決める大事なイベント。もちろん、9億人の人口を誇るインドも同じです。そんなインドで、4月11日から総選挙が始まります。選挙の期間は約1カ月という長さ。投票は、選挙区ごとに7回に分けて実施、5月23日に一斉に開票されることになっています。

モディ首相が率いる与党のインド人民党(BJP)が優勢であると言われていますが、彼の在任中に行われたさまざまな改革が十分でないという声も強く、どのような結果になるのか多くの人が見守っています。実は、日本にとって、インドの総選挙の結果は、無視できないもの。というのは、日本とインドは、将来のいろいろな協力関係を模索している過程にあるからです。

優勢とされるモディ首相はどんな人?

モディ首相が生まれたのは、現在のグジャラート州にあるワタナガル。グジャラート大学で、政治学修士号を取得しました。2001年から2014年までのあいだ、グジャラート州首相として、3度当選しています。

モディ首相の政策(1)「メイク イン インディア」

モディ首相の政策ひとつは、インドにおけるモノづくりを推し進めていくものです。これは、ただインドでモノを作るというだけではなく、インドを世界の製造そして輸出の「拠点」として成長させること。拠点化することで、外資を積極的に誘致し、インドのモノづくりを発展させよう、という政策です。

モディ首相の政策(2)「スワッチ・バーラト」

もうひとつの政策である「スワッチ・バーラト」は、インドの貧困層の衛生問題に焦点を当てたものです。インドは、まだまだ衛生状態がよくない場所がたくさんあります。そんな問題を解決するために、1.96兆ルピー(約3兆5000億円)を投資。2019年までに1億2000万の家庭にトイレを備え付けることを目指す、という政策を打ち出しました。

モディ首相の政策(3)「デジタル・インディア」

3つめとなるのがインドのハイテク化の試みです。インドの9億人もの人々をサポートするために、行政サービスを電子化することで、国民へのサービスを向上させようとしました。銀行口座、国民ID制度、携帯電話のデータを一体化することで、生活保障を充実させるというアイデア。IT大国のインドならではの発想とも言えそうです。

インドの経済的発展における日本の関与

政策としては素晴らしく見えますが、実際のところ、十分に実行されていない面も多いという現実が。そのため、2019年のインド総選挙は、モディ首相の政策の是非も問われることになりそうです。

インドに対して日本が注目するのは、モディ首相の経歴からもよく分かります。モディ首相は、グジャラート州の首相として活動していましたが、グジャラート州の経済的発展に日本の企業や投資が大きく関わっていたという背景があります。身近に感じる機会は少ないのですが、日本とモディ首相はかなり親密な関係にあることが分かります。

安全保障の観点からもインドは看過できない

日本にとってインドが重要になる理由は、まずは、その地理的な位置です。中国に隣接し、東南アジアにも近く、中東エリアにも近い距離にあるのがインド。とくに、中国や北朝鮮との緊張関係が続く日本にとって、インドと友好関係を築くことは必須なんです。

安倍晋三首相は、2018年10月29日に、モディ首相と官邸で会談した際、安全保障と経済の分野で協力関係を強めることを確認しました。そのため、安倍政権にとっては、友好な関係にあるモディ政権が継続することは、政権の安定性のためにも重要なことなのです。

インド高速鉄道計画の実現はモディ政権が鍵

インドでは、2023年の完成を目指し、日本の新幹線方式を採用した、インド初の高速鉄道プロジェクトが進められています。これは、ムンバイとアーメダバードのあいだの505kmを、新幹線により約2時間で結ぶという計画。これは、モディ首相の「メイク イン インディア」のひとつです。

新幹線を建設していく過程では、日本からインドへ技術を移転する形で合意されています。これは、日本の様々な企業が参画できるチャンス。しかし、土地の収用などをめぐり、現地の住民から反対の声も起こるなど、難航しているという現実も。日本スタイルの新幹線を開通させるため、モディ首相の続投に熱い視線を送っているという一面もあります。

敗戦後の日本にとって特別な存在だったインド

くわえて、安倍政権にとって、インドは特別な国であることも、インド総選挙の行方を見るうえで、視野に入れておく必要があります。それは、安倍総理の祖父にあたる岸信介さんとインドのあいだに特別な関係があるから。敗戦後、岸信介さんの外遊を受け入れてくれた国のひとつがインドです。そのため、政治的にもインドは、印象のいい国のひとつなのかもしれません。

実際、安倍首相は、会談するだけではなく、モディ首相を手厚くもてなしています。2018年10月28日に、モディ首相を山梨県にある自分の別荘に招待し、夕食会を開いています。別荘に招待することは、とても珍しいこと。安倍首相がインドを重視しているだけではなく、大切な存在としてとらえていることを裏付けます。

まとめ

日本で生活していると、インドの存在を感じる機会は、それほど多くありません。しかし、インドの地理的な位置、日本スタイルの新幹線が実現するか否か、また、歴史的なインドの重要性などをみると、意外にも深いつながりがあるんです。このような理由から、インド総選挙の行方は、インド国民にとってはもちろん、政治的、経済的に気になる日本人が多いと言えるのかもしれません。