なにを学ぶか、イギリスEU離脱と東アジア共同体の運命

イギリスのEU離脱が報じられてから、日本のメディアでもヨーロッパ情勢が頻繁に取り上げられるようになりました。メリットが多いように感じるEUですが、国民感情とのギャップによりイギリスはEU離脱を決断しました。

しかし、先日イギリスはEU離脱を一旦延期すると発表しました。足踏み状態が続いているイギリスのEU問題ですが、今回の件から日本も学べることがあります。ASEAN+3と呼ばれる日本が加盟する「東アジア集合体」の運命とともに、考えてみましょう。

良いことばかりでもない、EU情勢と国民感情のギャップ

人手不足だと移民政策に試行錯誤している日本にとって、EUの利点は是非とも取り入れたい政策です。また中国や韓国との関税を撤廃できたとしたら、とても大きな経済効果が出るのは明らかですよね。

実は、日本もEUのような「東アジア共同体」という集合体に属しています。主に中国が筆頭となっていますが、その枠組みは大きく分けて「日中韓」です。

オセアニアやインドを除いたASEAN+3が基礎となっていますが、中国はアメリカへの対抗策の一環と捉えています。そのため中国は積極的になっているものの、日本としてはオセアニアやインドも含めて、平和的に手を取り合う方法を模索しています。

では、そもそもイギリスがEU離脱を決めた理由はなんだったのでしょうか。

それでもイギリスはEU離脱を決めた、3つの出来事

イギリスがEU離脱を検討し始めたきっかけは、3つあるといわれています。1つめは米国発のリーマンショック(2008年)、2つめは米国主導の対テロ戦争、3つめが政治や保証面での米同時多発テロ(2011年)です。

当時のヨーロッパ情勢は決して安定しているとはいえず、国民感情に火が付くのは時間の問題でした。そこでキャメロン首相(当時)は、2013年1月に国民に対し、EU離脱の投票を行うと宣言しました。

しかし、国民投票は記憶に新しい沖縄県の県民投票と同様に、結果はどうであれ法的拘束力はありません。自らはEU賛成派だったキャメロン首相(当時)はこれを逆手に取り、国民投票をすることで、国民の感情を一旦鎮めようとしました。

支持率を見ても、現在のような結果になることを予想できたものは少なかったでしょう。国民投票を行うと宣言した後、ヨーロッパにふたつの悲劇が起こります。2015年にシリアから100万人もの難民が押し寄せ、同年11月にはEU加盟国でもあるフランスのパリで、イスラム国による同時多発テロが起こりました。

「このままEUに加盟していては、自分たちの国にも被害が及ぶ」と考える国民は多く、その結果、イギリスはEU離脱に踏み切ることにしたのです。

【EU赤字問題】先進国が自転車操業というのは珍しい話じゃない

EU加盟国には、「人、物、資本、サービス」を自由に行き来させることができるという規則があります。これにより出入国の手続きが免除になったり、関税が撤廃されているのです。EU加盟国同士は「開かれた国境」という名の下に手を取り合ってきましたが、統治能力や緊急時への対応力など、不安点が丸出しになってしまう形になってしまいました。

メリットが多く感じられたEUは現在、創設以来、最大の経済危機にあります。経済はほぼゼロの状態が続いており、失業率は10%近く、ギリシャの債務危機とトリプルの爆弾を抱えています。その上、難民が押し寄せテロが頻発すれば、どこの国民も他国と距離を取りたいと感じて当然かもしれません。

日本は借金大国であり、自転車操業どころではない赤字の状態が続いています。日本が抱える借金を国民一人当たりに換算すると、およそ800万円になるといわれています。実は日本もEUに似た「東アジア共同体」という集合体に属していることを、ご存知でしょうか。ヨーロッパの話は遠くも感じますが、そこから学べることがたくさんあるのです。

人の振り見て我が振り直せ、イギリスEU離脱から学ぶ東アジア共同体

日本はASEAN+3(日中韓)が主軸となった、EUに似た「東アジア共同体」というのに属しています。EUとは違いアメリカとロシアも参加していますが、実質的に主導権を握っているのは中国です。また中国ではアメリカへの対抗策と捉えている部分もあり、積極的に東アジア共同体を生かしていきたい考えがあります。

しかし日本は、争いごとを避けて仲良く手を取り合いたい意向が強いです。そこでオセアニア、インドを抜いたASEAN+3を主軸としている現在から、オセアニア、インドも含めた国々を主軸とする方向で推し進めています。

冒頭でも述べたように日本は今、人手不足に悩んでいます。移民を受け入れるかという問題も含めて、多くの政治家が議論していますよね。更に加工品や衣料品のほとんどを、アジア諸国に頼っています。それらの関税が撤廃され移民が増えれば、単純に日本の悩みが解決されることになります。

しかし、イギリスのEU離脱問題を見て分かるように、メリットだけではないのが「共同体」という存在です。他国の影響をもろに受ける部分は必ずあり、そのデメリットがメリット以上に大きいというデメリットも存在します。

では、せっかくある「東アジア共同体」を生かしていくために、できることはなんでしょうか。

憲法9条とは真逆をいく、東アジア共同体の動き

日中韓以外の小さな諸外国を含め、東アジア共同体をEUのようにした場合、各国にとってメリットは大きいものとなります。人、物、資本、サービスが自由に行き交うようになれば、自国の経済が影響を受けるであろう小さな国も、それ以上に得られるものが大きくなる可能性は十分にあるからです。

しかし、東アジア「経済共同体」となると、日本が軍事力を持つことに都合の悪い国というのが出てきます。これから経済をともにしていこうという国が、軍事力を持ち始めたら危機感を持つ国がいるのは当然なのかもしれません。

ですが、今は決して安定した時代とはいえません。「戦争はしないから武器もいらない」は正論であって、非現実的な時代に突入してしまったのではないでしょうか。その点において憲法9条改正が今日も話し合われており、メリット以上のデメリットに頭を悩ませる政治家がたくさんいるのです。

中国、韓国の国民性や情勢を見て、経済共同体になりたくないと感じる日本国民は少なくないでしょう。人、物、資本、サービスは国にとっての宝であり、それらを他の国々と分け合うというのは大きな選択であることがよく分かります。

イギリスがEU離脱に踏み切ったのは、ある意味では正解だったかもしれません。しかし、長い間をEU加盟国として過ごしてしまった以上、加盟国にしかないメリットが、現時点で予想以上に大きく膨らんでいることが足踏みさせている大きな理由といえます。

日本はそうなる前に、自国のメリットと他国のメリットを見比べる必要があるといえるでしょう。

まとめ

イギリスのEU離脱は、ヨーロッパの経済情勢に大きく影響を与えます。ヨーロッパ情勢はアメリカへ影響し、アメリカ経済は日本に影響を与えます。そうして世界中へ影響が広がっていくわけですが、日本もそういった先進国の一部であることを忘れないようにしましょう。

東アジア共同体という存在は日本にとってメリットであり、また他国に取ってもメリットが大きい存在です。しかし踏み込む場所を間違えれば、イギリスのように足踏みする時間が長くなってしまいます。

今後もヨーロッパ情勢に注視し、学べるところは学んで、日本にとってのメリットを考えていく必要があるでしょう。