2度目の米朝首脳会議は成功といえるか

2019年2月28日、ベトナムのハノイで2度目となる米朝首脳会談が開催されました。非核化に至る合意はできなかったとされていますが、独裁政権状態だった北朝鮮が外へ出てきたという点では評価できる会談といえます。

しかし、一方、米朝首脳会談をしただけで、満足してしまっている部分があるのも否定できない事実です。近隣諸国のひとつである日本にとって、その動向は注視するべきものといえます。2度目の米朝首脳会談を経て、アメリカと北朝鮮の今後をお伝えします。

成功とはいえない、北朝鮮とアメリカの「非核化に対する姿勢」

遠く離れたアメリカが時間と労力をかけて北朝鮮の非核化を目指すのは、北朝鮮の持っている核がアメリカまで飛ぶほどの脅威を持っているからです。これは世界で孤立している北朝鮮にとって大きな手札となっており、実際に非核化した場合の「保証」を、北朝鮮側が求めるのは当然といえます。

日本の国会議員の中には、非核化に向けて北朝鮮に援助をする必要があるのでは、との声もあります。しかし、日本を含む近隣諸国に加え、アメリカも、北朝鮮が非核化するのであれば、手を差し伸べる用意はあると「言い続けて」います。ですが、長きにわたり北朝鮮が無視し続けた結果、経済的な制裁が加えられることになったのです。

2度目の米朝首脳会談では、「非核化の合意文書」に、北朝鮮とアメリカの双方が合意することを目標としていました。しかし、合意には至らず、アメリカのトランプ大統領は以下のようにコメントしています。

「核爆弾の原料を作ることができる寧辺(ヨンビョン)核施設の廃棄の見返りに、北朝鮮側は経済制裁の全面解除を要求してきた。しかし北朝鮮の要求に「はい、そうですか。」と答えることはできず、会談の席を立つしかなかった。」

ここまでの歴史を振り返れば、アメリカが北朝鮮の言葉を簡単に信用しないのは明らかです。それは日本も同じ立場であり、やめると言ったから全面的に許すというのは時期尚早といえます。

合意に至らなかったのはやむ負えませんが、今回の米朝首脳会談で、北朝鮮とアメリカの非核化に対する「姿勢の違い」がよく分かりました。

自分で自分の首を絞める北朝鮮と、余裕で構えるアメリカ

今月14日、北朝鮮の国営ウェブサイトにある文章が掲載されました。2度目の米朝首脳会談を経た北朝鮮側の考えが掲載されており、そこにはアメリカに「譲歩」を求める一文も掲載されていました。

北朝鮮は、「朝鮮半島に恒久的な平和体制を構築し、完全な非核化に取り組むわれわれの立場は確固たるものだ」とし、非核化に取り組む意思を強調しています。しかし一方で、2度目の米朝首脳会談よりも踏み込んだ措置を、現段階で取ることは不可能だとしています。

北朝鮮は現在も全面的な経済制裁を受けており、経済的にとても苦しいことは周知の事実です。その上で、非核化へ向けた段階的な制裁解除を提示し、アメリカ側に譲歩を求めています。しかし、北朝鮮側が非核化へ向けてなにか努力しているかというと、そうでもないと言わざる負えない状況です。

北朝鮮の国営メディアに文章が掲載された翌日、北朝鮮の首都・平壌で崔善姫(チェ・ソンヒ)外務次官が、外交官に対し以下のように述べました。

「アメリカは2度目の米朝首脳会談で、絶好の機会を棒に振ったといえるだろう。」

またロシアのタス通信では、以下のように報道しています。

「我々は(北朝鮮は)、アメリカ側のいかなる要求にも屈することも、そのような交渉に積極的に取り組むこともない。」また「アメリカはギャングのよう」と非難する一文も掲載されていました。

北朝鮮は非核化という武器を片手に、世界で対等に暮らせるだけの「立場と保証」を求めています。他国との外交もろくになく経済的にも厳しい状況でそれだけの条件を求めるのは当然といえますが、誰の目から見ても身から出た錆だというのは一目瞭然です。

アメリカのトランプ大統領は、北朝鮮の非核化に対し「(核、ミサイルの)実験が行われない限り、自分は特に急いで非核化させようとは思わない。」と述べています。

余裕のあるアメリカに対し、経済的にも立場的にも選択肢はほとんどないのが、北朝鮮です。その立場をわきまえているとは思えない発言ですが、北朝鮮側も追い詰められて必死なのがよく分かる結果となりました。

米朝首脳会談から日本が受ける影響とは

世界的には北朝鮮の核保有にスポットが当てられていますが、日本は北朝鮮に対し、個別の事案を抱えています。そのうちのひとつが、拉致問題です。安倍首相は米朝首脳会談前にトランプ大統領と電話会談し、拉致問題についても言及しています。

しかし、世界規模で見ると日本と北朝鮮の拉致問題は、核問題よりも重視されていないのが現実です。北朝鮮としても早急に解決するべきは経済制裁の解除であり、二の次にされている感が否めない状況が続いています。

拉致問題に続き、日本として動向が気になるのはやはり北朝鮮の核兵器についてです。日本にとって脅威であることは紛れもない事実ですが、その脅威レベルはアメリカにとっても同じです。またそういった理由から沖縄に米軍基地が過多に配備されているのも事実であり、北朝鮮の非核化は在日米軍基地問題にも影響してきます。

北朝鮮が非核化したら、在日米軍基地は減る?

在日米軍基地はたくさんあるのですが、米軍専用の基地施設は意外と少ないのです。日本の自衛隊と共同使用していたり、一時的に利用可能な施設など、場所によって様々な在日米軍基地施設があります。

沖縄に配備されている在日米軍基地は、主に航空部隊(普天間飛行場)と海兵隊施設です。神奈川県の横須賀市にある在日米軍基地は、海上部隊のための施設であり、大きな船にセーラー服の米兵の写真を見たことがある方も多いのではないでしょうか。

各地で配置される意味が変わる在日米軍基地ですが、仮に北朝鮮が非核化したとしても、日本にとって北朝鮮が脅威であることは変わりません。ですので、仮に北朝鮮が非核化を完全に達成したとしても、在日米軍基地の重要性も変わりないという見解が多く見られます。

今後、南北戦争に終戦宣言がされ、北朝鮮と韓国が友好関係を取り戻したと仮定します。更に、アメリカ、北朝鮮、ロシア、中国の外交関係が友好関係になった場合、沖縄に在日米軍基地が過多に配備される理由はなくなりますよね。

しかし、現実的に考えれば、仮定した状況が訪れる日は遠い未来といえるでしょう。現時点で在日米軍基地が沖縄に必要な理由は明白であり、軍隊を持たない日本にとって、米軍基地が与える「安心感と脅威」は「絶対に」必要なものといえます。

まとめ

日本人にとって北朝鮮の脅威というのは、身近でありながらなかなか実感の湧かない問題でもあります。ですが、北朝鮮が突然ミサイルを撃ち込んでくる可能性がないとはいえず、米朝首脳会談が行われた後も十分な警戒が必要なのは明らかです。

今後もアメリカと北朝鮮の動向を注視しながら、日本が抱える拉致問題の解決に向け抜かりない準備をしておく必要があるでしょう。